「横山杯」ってご存じですか? 観光まちづくりの事例としての波崎のサッカータウン(その1)

◆もうすぐ「横山杯」(全国ユース招待サッカー大会)が波崎で開催されます

直近の話なので、このコラムのアップが間に合うかどうか不安なのですが、本年12月25日~29日、茨城県神栖市の波崎地区で「横山杯」という名の「全国ユース招待サッカー大会」が開催されます。

波崎地区(旧波崎町)には、70面を超える天然芝のサッカーグランドがあり、社会人から小学生までの様々な大会や合宿が行われる一大サッカータウンとなっています。

このサッカータウンの提案を行い、その実現に尽力したのが横山氏であり、1993年の最初のサッカー大会実施後、サッカータウンの充実に心血を注いできたが、2000年に52歳の若さで急逝してしまいました。

その横山氏への思いから、現在でも「横山杯」という名前の大会が開催されているのです。(「横山杯」について興味がある方は、下記URLを参照下さい)http://yokoyama-cup.info/

◆波崎サッカータウンの特徴

70面を超える天然芝のサッカーグランドがあるというと、皆さんはどんなイメージを抱きますか?

一つの広大な敷地内に多数のグランドが整備されているイメージでしょうか?

波崎の場合は全く違います。

元々波崎には、鹿島臨海工業団地関係者用の旅館が多数存在していましたが、1990年代には、客室稼働率は芳しくありませんでした。

横山氏は、この状況を踏まえ、各旅館がその敷地を使って1面、あるいは複数のサッカーグランドを整備する様に提案したのです。

従って、70面を超すサッカーグランドは波崎地区一帯に点在した形になっています。

小さい図(※マップ参照)で見にくくなっていますが、トップに示した図の赤やピンクの長方形がサッカーグランドとなっています。

◆スポーツを活かしたまちづくりの成功事例

この波崎サッカータウンが成長していった1990年代後半、私は何度か横山氏に連れられて波崎を訪問しました。そして、地元の旅館組合と横山氏が当時所属していた㈱毎日コムネットのスポーツイベント部門が協力してサッカータウンを実現したことを知り、街づくりの成功事例の一つだなと強く印象を持ったものでした。

◆新たな出会い

その後、業務に追われ、横山氏のことも、波崎サッカータウンのことも思い出すことが少なかったのですが、先日、私ども観光まちづくり研究会主催のセミナーでスポーツツーリズムを取り上げた際、2000年に横山氏が急逝する直前に独立して設立したスポーツマネジメント㈱のスタッフと出会い、波崎サッカータウンが健在であること、今も横山氏の名前を付けたイベントが続いていることなどを知り、改めて興味を持った次第です。

◆これから、このコラムを不定期連載したいと思います

1990年代後半に波崎を訪問した際には、「観光まちづくり」の観点から詳細な情報を掴んでいたわけではありませんでした。

旅館組合との調整はどの様なものだったのか?

安価な天然芝グランドを提案したと聞いたが、どうやって安価にしたのか?

などの当時の苦労話や成功の秘訣と共に、1993年のスタート以来、20年以上が経過した今、サッカータウンの運営は順調なのか、新たな課題に直面しているのか?

など、観光まちづくりの観点から知りたいことが山ほど出てきました。

今後1990年代当時を良く知る人、現在サッカータウンの運営に携わっている人などにヒアリングを行い、観光まちづくりの視点からの波崎サッカータウンの情報をまとめ、今後不定期に何回かに分けてコラム化していきたいと思います。

ご期待頂ければ幸いです。

投稿者

三上 恒生