「ふれあいの駅」ってなんですか!?

“道の駅”とはちょっと違います

「天王のおばちゃんのところにお米を取りに行った帰りに“道の駅”へ立ち寄ったけど、既にほぼ売り切れ。はよいかんとあかんな。」

京都の南、京田辺市域に拡がる丘陵地の谷間に車を走らせると、壁面に大きく「普賢寺ふれあいの駅」と書かれた、木造平屋建ての建物が現れます。

朝一番には、地元の人々によって生産された京野菜、花卉、無添加味噌、普賢寺米、餅、ちらしずし、おこわ、さらにお茶の販売・試飲、手もみ茶・茶摘み体験、筍の地方発送等、南山城の郷土色が垣間見えるメニューが所狭しと並べられ、休日の午前中には、アッ!という間に売り切れてしまう、知る人ぞ知る地域の人気スポットとなっています。

当方実家の母も含め、都会からの多くの来訪者たちに“道の駅”と呼び間違えられているこの施設ですが、ここは国交省に登録された道の駅では無く、普賢寺6地域(水取、多々羅、普賢寺、天王、高船、打田)の地元農家の方々が協働運営している農産物直売所です。

女性8人から始まった小さな朝市

きっかけは、京都府と市の農政課からの直売の勧め。
平成元年に地元の女性8名が農協前で始めた小さな朝市は、平成14年に現在地へ移転。当初はテント張りだけだった直売所も今ではよく見かける“道の駅”と見間違うほどの施設となり、現在では個人団体合わせて60会員以上で運営ローテーションを組む管理組織にまで拡がりました。

この“ふれあいの駅”の営業日時は、土日火水木の8時~15時。地域住民による運営のため、日常生活に無理のない日時設定となっているようです。

また施設の維持管理は、トイレ掃除、水道元栓の開閉、生ゴミの持ち帰り、精米所の清掃、米ぬか排出口の点検、施設の管理日誌の記載に至るまで、会員メンバーが一人ひと月1~2回程度、一日2~3人による持ち回りで取り組まれています。

地域課題の解決に向けて

一方、里に残った人々の超高齢化による、先祖代々の田畑や山の担い手不足は明らかで、当然のように耕作放棄や荒れた竹林の拡大が進み、結果として里の素朴な賑わいや小さな美しさの連なりが失われつつあります。

そのような中、ここでは従来の地縁型コミュニティだけに頼らない、多様な人々との繋がりを大切にしたボランティア活動の農への組み込みが進められています。荒れた場所のクズ・ササ刈り、復田作業、米・黒大豆・小豆・えびいもづくり等がプログラム化されるなど、地域農業の課題解決へ向けた地道な試みです。

“ふれあいの駅”と名づけられたこの直売所事業の大きな目的は、農業を楽しみ、活力を生み出し、さらに健康増進などへと繋げながら、地域の絆も大きく育てることだと。

京都奈良大阪の三府県境に残された小さな里の小さな朝市から始まった地域活動の場づくりは、地元の人々自身の考えと行動により、出来ることからゆっくり一歩づつ続けられています。その素朴で実直な活動そのものが、都会からの来訪者の購買意欲を駆り立てているようです。

※参考文献:京田辺市観光協会HP:http://kyotana.be/object/detail/89/
普賢寺ふれあいの駅HP:http://fureai-st.com/

投稿者

奥川 良介