観光地における震災復興 ~いわき市の事例からの考察~

いわき市写真1

1. 震災前の約7割まで戻ったいわき市への観光客

福島県いわき市は震災前には年間1,000万人を超す観光入込客数を誇っていました。

しかし4年前の震災により、多くの観光施設が被害を受け、また放射能などの影響で観光客は年間370万人と激減しました。

その後、下記の通り観光振興の努力の甲斐があり、震災前の7割程度まで観光客数は回復しました。

2. スパリゾートハワイアンズへの集中したこれまでの取組

この4年間、いわき市は、主要観光施設の復旧と共に、復興交付金を活用した団体、ファミリーの誘客を行ってきました。一方主要観光施設である「スパリゾートハワイアンズ」が施設の拡充、フラガールズの全国行脚、首都圏からの無料送迎バスなど施策を実施、その結果スパリゾートハワイアンズの年間利用者数、利用収入は震災前以上に復活しました。

いわき市としては現在「フラガールが生まれた街」をフラッグに観光振興を図っています。

3. いわき市に取っては2度目の復興

スパリゾートハワイアンズ(旧:常磐ハワイアンセンター)は、「炭鉱の閉鎖」という「いわき市の危機」を再生した存在で、オープンからちょうど50年を迎えました。いわき市にとってハワイアンズを核とした震災からの復興は、50年を経ての2回目のチャレンジとなります。

4. ハワイアンズからいわき市全体の観光振興へ

私としては、これまでのいわき市の頑張りに大いに敬意を表し、今後いわき市の観光産業が更に発展し、震災前を上回る産業になってもらいたいと願っています。

但し、ハワイアンズ以外のいわき市の観光産業は、多くの震災復興関係者の長期滞在という恩恵を受けながらも、未だ震災前の水準にまで戻っておらず、復興への展望も描き切れていないのが現状です。今後はスパリゾートハワイアンズという「点」への重点投資から、いわき市全体への観光客誘致へ「面」としての施策展開が必要となるでしょう。

5. 観光客誘致への視点

ハワイアンズのイメージをいわき市全体に浸透させる

温泉旅館の和服従業員による「着物deフラ」や、「フラおじさん」(市の「ゆるキャラ」)など、ハワイアンズのイメージを市全体に広める試みも、今後期待されます。

エネルギーパークいわきの提案

いわき市は日射量が多く、近年メガソーラー施設などが設置されると共に。温泉熱(地熱)やバイオマスの取組も始まっています。

クリーンエネルギーを活用したまちづくりを推進するとともに、「石炭から石油、原子力を経てクリーンエネルギー」という、エネルギーの歴史を体現できるような「エネルギーパークいわき」を推進してみてはどうでしょうか?

何といっても美味しい魚の復活

最後に、いわき市の魅力は何といっても新鮮な魚介類。海への放射能汚染が終息し、美味しい魚が食べられる町になってくれて始めていわき市の観光復興が完結するのではないでしょうか。現在の試験操業が本格操業に戻る日を待ち望んでいます。

 

「がんばっぺ!いわき」

いわき市写真2

投稿者

三上 恒生